入院6日目(2)
病院に着いて急いでICUへ向かう。
そして彼と対面した。
彼は眼を閉じて眠っているように見えた。
ただ、耳元で声をかけても刺激を与えても眼を開けることはなかった。
しきりに左腕のみ動かしていた。
彼の腕はもう拘束されていない。
それは彼の腕はもう、点滴を抜去するほどの力もないということを意味した。
看護師から「主治医は他の患者の処置中ですので、もうしばらくお待ちいただいてもいいでしょうか?」と訊かれる。
了承し、彼の傍に座った。
彼の手を握り、さすりながら彼の名前を呼ぶことしかできなかった。
30分ほどそうしていただろうか。
看護師さんに呼ばれた。
そして主治医の先生の待つ部屋へと向かった。