いつかあなたに逢いたい

2015年12月に6年付き合っていた最愛の彼を喪いました。
正直どう生きていったら良いのかわからないまま・・・今を過ごしています。

病状説明

主治医から病状説明を聞くことができるのは普通、家族のみだ。

私はかなり特殊だっただろう。彼女とはいえ赤の他人だ。

後から聞いたところによれば、主治医の先生が私が毎日見舞いに来ているのを看護師さんから聞いて、彼女さんにも病状説明をしたいと申し出てくれたそうだ。

彼のご家族もぜひお願いしますと答えたとのこと。

そして延命治療を行うかどうかも訊いてほしいとご家族はおっしゃったそうだ。

このことは今でも本当に言葉では言い表せないくらい、感謝している。


主治医の先生はカルテや彼の脳のCT、MRI画像を見せながら丁寧に説明をしてくださった。

まず彼の病名は外傷性のくも膜下出血、脳出血、脳挫傷。

1つでも命に関わるのに、そんな病名が3つもつけられていた。クラクラした。


そして先生は説明を続けた。

・出血自体は吸収されているが、合併症として脳浮腫、脳血管攣縮が起こっていること

・その合併症の程度がとてもひどいこと

・脳血管攣縮のせいで脳梗塞と同じような状態になっており、仮に意識が回復したとしても右半身麻痺、全失語、情緒障害が残ること

・一番問題なのが脳の腫れで脳溝(脳のシワ)が見えないほど腫れていること

・脳の腫れがひどいせいで呼吸や心臓の機能を司っている脳幹を圧迫し始めているということ

・正直いつ呼吸が止まってもおかしくないこと


嫌というほど理解できた。もうどうあがいたって元の生活には戻れないということ。


「どうしますか?」と主治医の先生に訊かれた。

彼の自発呼吸や心臓の鼓動が止まりかけた時に、人工呼吸器をつけるかどうか、昇圧剤や強心剤を使うかどうかということだ。

私は涙声になりながらもなんとか答えた。

「いいえ、望みません。」


主治医の先生や付き添いの看護師さんは一瞬驚いたように見えた。

私が望まないと即答したからだろう。


「彼と約束していたんです。無理な延命はしないと」と私が言うと、先生は「わかりました。ただ、脳の腫れを抑える薬などは最後まで投与させていただきます。」と言われた。

「先生、お願いします。そしてお時間をとっていただいて本当にありがとうございました。」そう言って部屋を出た。

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