入院6日目
2015年12月3日。
午前中は全く仕事に集中できなかった。
はやく彼の所に行きたい、はやく時間が過ぎてくれと思っていた。
午後3時ごろ。私に電話が入った。
「ナナドゴブさんですか?××病院のICUの師長です。」
もうこの時点で嫌な予感しかしなかった。
申し訳なさそうに師長さんは続けた。
「電話で言うのもどうかと思うんですが・・・○○さんの脳の腫れがひかないんです。」
「先程、ご家族には説明し延命治療を行うかどうかお訊きしました。」
「ご家族は希望されないとのことでしたが、彼女さんが希望されれば延命治療を行うとのことでした。」
「夕方5時くらいまでに病院に来ていただけたら、主治医の方から病状説明を行います。良かったら来ていただけませんか。」
この言葉を聞いた時、不思議とそこまで動揺しなかった。
『あぁ、ついにきてしまったか』最初に思ったことはこれだ。
「わかりました。すぐに向かいます」そう返事した。
延命治療をするかどうか訊いたということは、もう彼の命は消えかかっているということだ。つまり残された時間はもうない。
先輩と上司に事情を話し、早退させてもらった。
「落ち着いてから運転しなさいね。気をつけて」と言ってもらえた。
昼間だったので、道はかなり空いていた。
それなりにとばして病院へと急ぐ。
はやく、彼の所へ行きたい。そればかり考えていた。