病院を出てから・・
アパートに戻る前、私は職場に立ち寄った。
明日から恐らく来られなくなる。病院へ向かうときも仕事を放り出してきたので、少し整理しておかなくてはいけないと思ったからだ。
守衛さんに特別に鍵を借り、部屋の中へ入る。
携帯を気にしながら、一時間ほど仕事をした。
その後、アパートに帰って家事を淡々とこなした。
そして、友人にも連絡した。彼がもう最期を迎えそうだと。
友人は驚き、電話の向こうで泣いてくれた。
私はその時は全く泣けなかった。むしろ淡々としていたと思う。
その後少しでも横になろうとベッドにもぐった瞬間、急に彼が最期を迎えるんだという実感が襲ってきた。
「嫌だよ、○○。私を置いて逝かないでー」と言いながら泣いた。
泣くタイミングがずれているような気もする。
それでもやはり疲れていたのか少しうつらうつらしていた。
そして2015年12月4日。午前2時。
私の携帯に病院から連絡が来た。
「○○さんですが、両目とも瞳孔が開いてしまいました。呼吸も少しずつですが弱くなっています。すぐに来てください。」
私は跳ね起き、病院へと再び向かった。