年越しの想い出
彼と付き合った6年間で、一度だけ一緒に年越ししたことがある。
2012年から2013年にかけての時だ。
この時は今のようにカレンダー通りの休みではなく、完全なシフト制だったから、休みの予定が合うかわからなかった。
いざ予定が出ると、31日は遅番で1日は休み。
「一緒に初詣に行きたい‼」と無理を言って、11時過ぎに私の家まで迎えにきてもらったのだ。
しかしよりによってその年の31日は雪。
車椅子の彼にとって、移動の妨げになる雪は大敵だ。
こりゃ厳しいかもな~なんて言い合いながら、一応地元では有名な神社の近くに行ってみた。
とんでもない人だかりが見えて、絶対に無理だと思った。
たとえ車を停めて行けたとしても、かなり並んでいるので、お参りするまで相当時間がかかる。
私はともかく彼をそんな長時間寒空の中に居させるわけにはいかない。
彼は事故の影響で体温調節も私達のようにはいかない。ちょっとしたことで身体が冷えきってしまうからだ。
「ごめん。◯◯。年越しの初詣を甘く見てた。」と言うと、「全然大丈夫。ナナドゴブとこういう風に夜中デートするのも楽しいから」と言ってくれた。
私が気を遣わないように。
本当に優しいんだから。
ドライブ中に2013年になって、彼と顔を見合せて笑いながら、「今年もよろしく」と言い合ったことを覚えている。
その神社を離れて暫くドライブしていると、別の小さな神社でお神酒を配っている光景が見えた。
彼でも入れそうだったので、近くに車を停めて行ってみる。
ほとんど地元の方しか来てないみたいで、ほとんど待たずにお参りすることができた。
「今年も彼と一年過ごせますように。」
そうお参りした。
この時、一年と思わずにずっと一緒に、と願ったら、彼は今でも私の隣に居たんだろうか。
そしてお揃いのお守りを買って、おみくじもひいた。
おみくじの結果はどうだったか覚えていないけれど、覚えていないってことは良くも悪くもなかったんだろう。
嬉しかった。
バタバタしながらも一緒に初詣に行けたことが。
彼と一緒に年を越せたことが。
そして新しい年になって一番最初に顔を合わせたのが彼だったことが。
本当、今から思い返してどうして年越しを一緒にしたのがこの時だけなんだろうと思ってしまった。