ある夏の日のデート(2)
水族館を出た後、近くにある道の駅へ寄った。
水族館では軽食しか食べていなかったので、そこで遅い昼食を摂った。
海の近くの道の駅とあって、海鮮系のものがたくさんあった。
2人とも小さな海鮮丼とカニの味噌汁を頼んだ。
海鮮丼もおいしかったが、特に印象に残っているのが味噌汁だ。
器からはみ出るほどのカニが入っており、出汁が効いていて本当においしかった。
カニが大好きな私は「おいしい、おいしい」と夢中になりながら食べていた。
ふと気づく。彼をほったらかしにしていた。
そしてガツガツと全く女子らしくなく食べていた。
引かれたかな・・・と思いそーっと彼をみるとあっけに取られているみたいだった。
ヤバい、どうしよー・・と凹んでいると、
「ナナドゴブ!俺のカニも食べなよ~」と言い、器を差し出してきた。
「いやいや、それ○○の分じゃん。食べて食べて。」と慌てて言うと、
「いや~あんまり美味しそうに食べるから、もっと見たくなっちゃって。俺は別にカニが大好きってわけじゃないから。全然気にしないで。」
ありがたく貰った。
そして私が食べている様子をニコニコしながら見ていてくれた。
嬉しいような恥ずかしいような複雑な気持ちになったことを覚えている。
この道の駅にはいつかもう一度行きたいねって話していたけれど、結局2人で行くことはなかった。
今住んでいる場所からは少し遠いけれど、もう一度行こうと思っている。
カニの味噌汁、まだあればいいなぁ。
・・・・・・。
この記事を書いていて思った。
もう一度彼のあの優しい笑顔を見たいって。
私のことを迎えにきてくれる時も、あの笑顔できてほしいなぁ。