複雑な胸の内
あの時のことを思い出すのは今日は休み。
やっぱり辛い記憶を掘り起こすのは労力を使うことだから。
今日、母から手作りのストラップをもらった。
パーツも全て自分で選んで作ったらしい。
正直売っていてもおかしくないレベルだった(身内の贔屓目もあるかもしれないが)
母は昔から手先が器用で、細かいものを作るのが大好きな人だ。
「選んでいる時も、作っている時も楽しかった!」と母。
有り難く、大切に使わせてもらおう。
そういえば彼も器用だったっけ、なんて思い出した。
車椅子になるきっかけの事故の後遺症で、握力はかなり弱かったが、軽く握るだけで使えるペンチで針を掴み、裁縫をするような人だった。
身体は不自由だったけど、日常生活が不便なくおくれるように、持ち前の器用さで何とか補おうと努力していた。
私は、彼のそんなところも大好きだったんだ。
彼は事故にあうまでは、ジャグリングも大好きだったという。
私は見たことがない。
車椅子になってからはもうやってなかったから。
今は身体の不自由さもなく、あちらの世界で好きなだけやっているのかな。
そうだったらいいなという願望と、でも私はそれを見られないんだなって切なさと、両方の気持ちが胸を占拠して、何だか複雑な気分になった夜だった。