初めて見た夢
彼がいなくなって初めて見た彼に関する夢。
見たのはお葬式の次の日かその次の日だったと思う。
私は車で彼の故郷の町を走っている。
ぐるぐる、ぐるぐる回っている。
窓から見える風景は彼の故郷の町とは大分違う。
同じ所もあったけれど。
彼の町は海なんてなかったのに海岸沿いを走ったりもした。
でも私はここは彼の町だと思っている。
途中でオシャレな雑貨屋さんに寄り、一人でみてまわった。
結局何も買わなかったけれど。
彼の町には雑貨屋さんはない。
そしてまた車に乗り、少し走って海岸沿いに車を停めてトランクを開けた。
そこには何故か彼の車椅子とよく使っていた鞄だけがあった。
彼の鞄を手に取り、開けようとする。
中身を見る前に、目が覚めた。
この夢の中でも私は「彼がもうこの世にいない」ということをわかっていた。
ぐるぐる回っていたのは彼を探していたのかな。
車椅子と鞄だけあったのが猛烈に寂しかったのを覚えている。
不思議な夢だ。