希死念慮(2)
「ナナドゴブが悲しんでいるといつまでも成仏できないよ」
「ナナドゴブが笑って前を向けば彼も安心して逝けるよ」
彼がいなくなった時、このような言葉を言われた。
多分私を励まそうとして、前を向かそうとして善意で言ったのだろう。
でも私はかなり性格が悪いので、
『最愛の人を喪ったこともないくせに』
『彼が悲しんでるって、笑えば安心するってどうしてわかるの?彼をみたの?だったら連れてきてよ』
『あなたはこの世からいなくなったこともないくせに、なんでわかったように語るの?』
とか心の中で思いながら、愛想笑いを浮かべていた。
でも時々思う。
もし本当にそうだったら・・・と。
私が悲しんで、会いたい会いたいと叫ぶことで、彼にも負の感情がかかって苦しんでいるのではないか、と。
私が彼のお荷物になってしまっているのではないか、と。
本当はそんなのは嫌だ。
でも私が生きている限り、悲しいとか寂しいとか、そういう気持ちは打ち消すことはできないと思う。本当にもうどうしようもない。
彼との想い出、楽しかったこと、彼のことは忘れたくないけれど思い出す度に負の感情が表れてしまうのも事実。
そしてその感情が彼を苦しめているのだとしたら・・・
私は生きている限り、彼のお荷物にしかならない。
感情を消すべきなのか、壊れてしまうべきなのか。
両方とも無理そうだから、なんならいっそひとおもいに消してくれとさえ思う。
沈んでいる時は特にそういうことを考えてしまう。
自分が生きることで彼が苦しむのなら、自分が消えるしかない。
じゃあもう終わりにしないといけないなぁなんて考えたこともあった。
今はそんなことを考えるのは少なくなったけれども、泣く時に彼に申し訳ない、ごめんねと謝っている。
彼は私にどうしてほしいんだろう。それを知ることができたらいいのに。