去年の今頃は、って考える癖がいまだに抜けない。
こんなことを考えるのはダメとわかっていても。
幸せだった時に思いを馳せてしまう。
祥月命日を迎えたら少しは変わるのかな。

去年の今頃、８月の最後の週末は彼のアパートへ泊まりに行っていた。
お互い料理を作りあったり、DVDを観たりしながらまったりしていたなぁ。
彼に「もうすぐ誕生日だね。何欲しい？」と訊いて「うーん、今は思いつかないなぁ。考えておくよ」なんて他愛のない会話をしたり。
その時は何でもない日常だったはずなのに、今考えると泣きそうなくらい幸せな時間だ。
その当時はこの３ヶ月後に彼が入院しているなんて、考えもしなかった。

どうしても願ってしまう。あの頃に戻りたいって。
彼と一緒に幸せな時間を過ごしたいって。
というか、彼が隣にいるだけで幸せなんだけれど。
もしもう一度過ごせるのなら、私はその時間を一秒一秒大切に噛み締めて過ごすだろう。

もう他には何もいらない、何も望まないから、彼とずっと一緒にいさせてほしい。

一昨日の研修の帰り、行きとは違う道で帰った。
初めて通る道。海沿いの道。
一昨日は雨だったから景色はイマイチだったけれど、晴れてたら綺麗なんだろうな。
その後は始めて来る知らない街中も走った。
彼が好きそうな街。
程よい感じに自然があって、それなりに栄えてて。
地元にないような綺麗な雰囲気のお店や、かわいい雰囲気のお菓子屋さんもあった。
時間がなくて、通り過ぎただけだったけど。
そして私が住んでいる場所から車で１時間程度の所に、こんな街があることを初めて知って驚いた。

「彼と来たかったな」そう思ってしまった。
一緒にドライブしてお店とかに入ってみて、美味しいものを食べて笑いあって。
２人で綺麗な景色を眺めて。
他のカップルが当たり前のようにしていることが、もう私達にはできない。
何でなんだってまた怒りとか悲しみとかが込み上げてしまった。
これからも新しい経験をする度に思ってしまうんだろう。
「彼がいたら・・」って。

ホント、会いたいなぁ。
彼がいなくなってから１年も経っていないのに、彼に話したいことや彼としたいことがドンドン増えていってるよ。

今日は今までの疲れもあって一日中寝ていた。
目が覚めてもしばらくはごろごろしてまた眠っていく。
夢にも彼は出てこなかった。

夕方になって本格的に目が覚め、少し呆然とする。
そして「あれ？何で彼はいないんだっけ？」と考える。
彼はこの世からいなくなったんだ。去年の12月に。外傷性くも膜下出血と脳出血で。
そしていろいろ思い返す。
彼とICUで初めて対面した時とか、最後に交わした言葉とか、最期の瞬間とか。
彼の葬儀。独特の冷たさの彼。拾った骨の感触。
それらを思い出してやっと納得する。
彼はいないんだと。
悲しくなるけど、叫びたくなるけど、こうしないと自分自身を納得させられないから。

最近は思い返しても涙が出てこなくなった。
良いことなのか、悪いことなのか、わからないけど。
でも、８ヶ月経った今でもこんなことを考えてしまうのは、やっぱり彼の死を受け容れられていないのか。
現実で起こったことだとわかってはいるけれど、信じたくないのか。
納得ができていないのか。
うーん、この状態はいつか変わるのかな。
この状態が何年も続くのは嫌だな。
残された時間が長いのならなおさら。

何で彼がいなくなって、私だけがこの世に残っているんだろう。