ふらふらと
いなくなった時に比べて頻度はかなり減ったけれど、今でもたまにふらっと彼のアパートへ行ってしまう。
彼を探して・・・というよりも「もう彼はいない」と自分へ言い聞かせるための確認作業のような感じ。
でも彼がもしかしたらいるんじゃないか、彼の車がそこに停まっているんじゃないか、と淡い期待を抱いているのも確かだ。
そんな期待はいつも粉々に打ち砕かれるのだけれど。
今日もまた、行ってしまった。
彼の部屋だった所は真っ暗。まだ新しい入居者は入っていないんだろう。
最後にこの部屋を借りたのは彼だということに何故だか安堵する。
「○○・・どうしたら逢える?」なんてぶつぶつ言いながら彼のアパートをあとにする。
完全に不審者だ。危なすぎる。
周りに人がいなかったから見られてはいないはずだ、多分。
新しい人が入ったら、流石に怪しすぎるので辞めるとは思う。
そして帰りは彼も私も好きだったうどん屋で、一人でうどんを食べてから帰る。
よく一緒に寄っていたなぁなんて思いながら。
こんな寄り道をもう何回も繰り返している。
どこを探したって彼はいない。そんなことわかっている。
でもどうしても行ってしまう。
いつになったら、辞められるかな。
いつになったら受けいれられるのかな。