彼への手紙
つきあってしばらく経った頃の遠距離恋愛時代。
普段は電話やメールをしていたが、新鮮味を出すために数回手紙のやり取りをした。
彼宛に書いた手紙の中で、私はこんなことを書いていた。
「目指す仕事に就いて、この仕事をやってて良かったって思えるようになりたい。」
この手紙を出した当時、私はまだ学生。
就きたい職業目指して勉強している最中だった。
途中で壁にぶち当たって、その不安を手紙の中で彼に書いた。
そして最後にこの言葉を書いたのだ。
あれから数年。
当時目指していた仕事には就くことができた。
本当に嬉しかったし、毎日大変だけどやりがいを感じていた。
彼がいなくなるまでは。
もちろん目標を達成できた時は嬉しいと思うこともあるし、患者さんが笑顔で退院していくのを見てほっとする時もある。
でもそれ以上に『病院』という職場がキツい。
あの時のことがフラッシュバックしやすいし、何のために仕事をしているんだろうって気になる。
そして亡くなって退院していく患者さんの家族をみると、どうしても自分と重ね合わせて泣きそうになる。
必要以上に患者さんや家族に感情移入していくのは、プロ失格なんだけどね。
いつか彼に「この仕事をやってて良かった」って報告できる日はくるんだろうか。