いつかあなたに逢いたい

2015年12月に6年付き合っていた最愛の彼を喪いました。
正直どう生きていったら良いのかわからないまま・・・今を過ごしています。

フラッシュバック

彼がいなくなってからしばらくは、ふとした瞬間に彼との想い出が脳裏に浮かんだ。

エレベーターに乗った時は、彼と昔ガラス張りのエレベーターに乗ってはしゃいだ記憶がよみがえったし、彼の車で一緒にドライブした場所を通った時は、その時に話していた会話の内容を思い出したりした。

ひどいときは職場で書類に自分の名前を書いた瞬間、私の名前を呼ぶ彼の優しい声を思い出した。涙がこみ上げてくるのを悟られないように必死になった。


最近は理不尽なフラッシュバックもほとんどなくなり、仕事中に泣き出しそうになることはかなり減った。ほとんどないと言っていい。

一人になると彼との想い出が頭の中に駆け巡り、泣き叫ぶこともあるけれど、人前では折り合いをつけることができたと思っていた。


なのに、今日久しぶりにきてしまった。

それもいきなり。

仕事で病棟にあがり、そこにあったモニターのピッ、ピッという音を聞いた時、彼の最期の姿がかなり鮮明に浮かんだ。

彼の主治医が瞳孔の対光反射を確認し、彼の胸に聴診器を当てて心臓の鼓動がないのを確認している様子も思い出した。

心臓がバクバクと鳴り、涙が込み上げてきた。かなり苦しかった。

慌ててトイレに駆け込んで呼吸を落ち着かせた。

かなり時間がかかったけれど。

今まではモニターの音を聞いても全然平気だったのにな。不思議だ。


フラッシュバックはいつどこでどうくるかわからないんだね。

やっぱり理不尽だ。

心構えはしておかなきゃな。

どうか人前で強烈なフラッシュバックが起きませんように・・・

ハンドクリーム

彼は常に車椅子だったので、実質手や腕だけで移動していたようなものだった。

そのせいか肩周りや腕の筋肉は凄かった・・・


ただ車椅子を自分で操作する時に、ハンドリム(車椅子のタイヤについており、これを掴んでこぐことで、スピードを調整したり向きを変えたりする)を使っているので、手がいつも擦れて手のひらの皮がガサガサだった。

特に今の季節は乾燥することもあり、ひどい時は皮が剥けてしまっている時もあった。

「ちょっと!手のひらひどいじゃん!!大丈夫なの?」と訊いても、「大丈夫だよ~」なんて言って笑ってるだけ。


見かねて私はハンドクリームを彼にあげた。私が使っている物と同じもの。

彼は「わーい。ナナドゴブとお揃いだ~♪」なんて喜んでた。

ポイントはそこじゃない気がするけど・・・。

でも手をつないだ時、お互いの手から同じ香りがするのはなんだか嬉しかった。

頭を撫でてくれた時、その香りがすると使ってくれているんだ、喜んでくれたんだって思えた。

ハンドクリームを使って少し良くなったけれど、彼の手はそれでもガサガサだった。

でも途中からその感触=彼の手って感じがして気にならなくなった。

寧ろ安心した。


彼がいなくなって彼のアパートへ行った時、そのハンドクリームの容器をみつけた。

綺麗になくなっていた。大分前にあげたものだから、容器だけ取っておいたんだろう。

大事に取っておいてくれていたんだね。

なんかその容器を見た途端、無性に悲しくなった。

それをあげて喜んでいた彼の顔、彼の手の感触、そして最期に彼の手に触れた時の冷たさ、そんなものを一気に思い出したからだ。


何でいなくなっちゃたんだよ~。

これからもハンドクリームを塗ってあげたかったのに。

ずっと手を繋いでいたかったのに。

彼の手が恋しい・・

彼は私に何を望む?

彼がいた時の私の望み。

・彼と結婚してささやかだけど幸せな家庭を築くこと

・2人でずっと生きていくこと

多分、彼も同じ事を望んでいたと思う。

当たり前に叶うと思っていた。もう少しで叶うと思っていた。

もう私が生きている間は叶わないけれど。


彼と住む世界が違い、もうこの世では2度と会えなくなってしまった今、彼は私にどうしてほしいだろう。

生きてほしい?

後を追ってきてほしい?

泣き暮らしてほしい?

幸せになってほしい?

・・・正直わからない。


彼は「ナナドゴブは幸せになれよー生きろよー」って表面上は言うと思う。

私のためを思って。格好つけて。

でも彼の本音はわからない。

彼は「寂しい」とか「悲しい」などの感情を隠そうとする所があった。

生きていた時はけっこうそれを見抜けていたけれど。

「そばにいてほしい」という気持ちを抑え込んで、「ナナドゴブは生きろ」とか思ってるんじゃないか、と思うとたまらない。


そんなことをいろいろ考えても、結局それは私の経験上そう思うだろう、と予測した彼でしかない。本当は全然違うのかもしれない。

彼と会って、話したい。

そして彼がどう思ってるか知りたい。

そんな気持ちが最近どんどん膨らみつつある。