いつかあなたに逢いたい

2015年12月に6年付き合っていた最愛の彼を喪いました。
正直どう生きていったら良いのかわからないまま・・・今を過ごしています。

対面

××病院に着いた。

ここでふと思った。ICUには通常、家族しか入れない。

私は婚約もしていないただの彼女。入ることができるのだろうか。

とりあえず、ICUの入り口に向かう。

「あの・・今日入院した○○さんと面会できますか?」

看護師が訝しそうに「どのようなご関係でしょうか?」と訊いてきた。

「○○さんとお付き合いしています。」と答えると、「少々お待ちください」と離れていく看護師。

どうしよう、入れなかったら・・・と思っていると、「お待たせしました、どうぞ。」と中へ案内された。良かった。

手を洗って、マスクをしてICUへ入る。


個室のような場所に彼はいた。

酸素マスクをして点滴につながれて苦しそうに眼を閉じている。

「あまり刺激を与えない方がいいですね。」と看護師に言われたので、傍に座って見守っているだけにした。

両手は点滴を自己抜去しないようにベッドに拘束されている。

しばらくすると、急に右手で酸素マスクを右手で振り払い「吐く!!」と叫んで眼を見開いた。

慌てて看護師に報告する。彼は看護師が差し出した袋に吐いた後、少し楽になったのかさっきよりも表情が和らいだ。

しかし、右手で酸素マスクを取った際に点滴の針がズレてしまい、看護師に再度入れ直してもらった。「痛い、痛い」と叫ぶ彼。


私は、”あぁ吐いているのか、けっこうマズいな”とか”点滴を入れられるとわかるほどの意識レベルはあるのか”なんて考えていた。

職業上、ある程度の知識はあるためどうしてもそんなことを考えてしまう。

私はその後も彼の傍に座っていることしかできなかった。

1時間ほど経った後、ICUをあとにした。

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