あの日の約束
去年の10月29日。
ちょうど今ぐらいの時間、一緒に夕食を食べてたね。
お互いの近況を話しながら、美味しい和食を食べてたね。
その日の昼間、私が担当していた患者さんの容態が急変し、亡くなった。
前日まで話をしていたのに、本当に本当に突然だった。
退院も間近だった。家に帰るのを楽しみにしておられた。
ものすごく落ち込んで、そのことを彼に話したのだ。
「そっか、大変だったね。」と彼は言ってくれた。
その後自分たちの時延命治療はどうするか、どんな風に最期を迎えるのか、なんて真面目な話をした。
そして、その時に彼はこう言ってくれたのだ。
「俺はナナドゴブより長生きして、最期を看取るよ。ベッドの側で手を握って」
「それがナナドゴブの望みなんだろ?」と。
その時も私の手を握り、目をはっきりと見て。
そう。『最愛の人に看取られたい』というのは私の願いだった。
病院で働くうちにその願いはますます強くなった。
彼はそれを叶えてくれると言った。
本当に本当に嬉しかった。
その願いを叶えてくれることと、それまでずっと一緒にいてくれると言ってくれたことが。
この事は以前の記事にも書いたと思う。
ねぇ、あの時の約束はどうしてくれるの?
いつも私とした約束はちゃんと守ってくれてたじゃない。
何で一番大切な約束だけ破ったの?
嘘つき。
・・・・・・・・。
彼だって不本意だったよね。
彼にはどうしようもないのにね。
こんなことを思ってしまう自分が嫌だ。