車椅子でない彼
夢をみた。
彼が生き返る夢。
何度目だろう。
知らせを受けて彼に会いに行く私。
傍には彼のご家族や友人もいて。皆喜んでいた。
「○○っ!!」と言いながら駆け寄る私。
彼は私を抱きしめてくれた。
「ほんとに?ほんとに○○?」と訊く私。
「ごめんな、ナナドゴブ」そう言ってくれる彼。
私は不安で不安で彼の顔や身体をペタペタ触っていた。
温かい・・・少しほっとした。
「これからも一緒にいられるの?」と訊く私。
「いられるよ」と彼。
嬉しかったけれど、不安な気持ちがあったことは覚えている。
一旦解散して、しばらくしてからもう一度彼に会いに行く私。
部屋の扉を開けると彼がスーツに着替えていた。
「ちょっと!?もう仕事に復帰するつもりなの?無理しちゃダメだよ」と言う私。
「大丈夫だよ」と彼。
そこから何かやり取りしたけれど覚えていない。
そこで目が覚めた。
あぁ、やっぱり夢だったかとしか思わなかった。
少し切ない。
印象的だったのは、最初彼に会った時は車椅子だったのに、次に部屋に入った時は自分の脚で立っていたこと。初めて見た。
私は彼が車椅子になってから知り合ったから、立っているところは写真でしか見たことがない。
だから何となく嬉しかった。あれはあちらの世界にいる本当の彼だったのではないかと。
そして「これからも一緒にいられる」という言葉。
それが現実になることを願っている。