カラードレス
ウェディングドレスで思い出した彼との何気ない会話。
あれは多分付き合って1年半から2年くらいの時だったと思う。
彼の車に乗っていた。
信号が赤になり、交差点で停まる彼。
ふと助手席から窓の外をみると、そこはブライダルのお店でショーウィンドウにカラードレスが飾ってあった。
レースの部分が水色から藍色のグラデーションになっていた。
綺麗だな~と思わず凝視していると、反対側から感じる視線。
慌てて彼の方を振り向くと、そこにはニヤニヤ笑っている彼がいた。
「そっか~。ナナドゴブはああいうドレスが好みなんだ~。」
「ナナドゴブも可愛いところあるじゃん。やっぱり女の子だね~。」とか散々からかってくれた。
私は女の子扱いされることに慣れておらず、いや違う!とかそんなことない!とかムキになって言い返してしまった。
しばらく私をからかった後、彼は急に真面目な顔になってこんなことを言った。
「でも似合うと思うけどね~あのドレス。ナナドゴブに。」
「いつかああいうの着せてあげたいな。」
私は嬉しいやら恥ずかしいやらで、何て返事したか覚えていない。
ああいうのはガラじゃないって思ってたけど、彼が喜ぶなら着たかったな。
ごめんね。見せてあげられなくて。