病状説明を受けた後
先生からの説明が終わり、私は彼の所に戻った。
彼の左腕はもう、動いていなかった。
私は彼の動いていない左手を握った。
彼と私が手を繋ぐ時は、彼の左手と私の右手を繋ぐことが多かったからだ。
「どうして・・・○○、どうして・・・」
「結婚しようって言ってくれたじゃない」
「一体、どこでそんなに頭を強く打ったの?」
「12月は今まで忙しかった分、ゆっくりしようねって言ったじゃない・・・」
そんなことを言いながら、泣いた。
かなり長い時間ICUにいるが、私はどうしても離れる気にはなれなかった。
しばらくすると私に電話をくれた、ICUの師長さんが来てくださった。
「電話をくださって、ありがとうございました。」と私が言うと、
「それは全然いいのよ。ただ、もしもの時のことも話し合っていたなんて、本当に良い絆で結ばれていた関係だったのね。これからがつらいと思うけれど、気をしっかりね。」と声をかけてくださった。
私は泣きながら、頷くことしかできなかった。
それから更にしばらくすると、彼の一番の友人が面会に来られた。
彼のご両親が連絡したのだろう。
彼から話は聞いたことはあったが、実際にお会いするのは初めてだった。
あちらも私のことは彼から聞いていたとのこと。
ぽつぽつと会話を交わした。
一番印象に残っているのが「何だか、こうしていると寝ているみたいですね」との言葉。
30分ほどで帰っていかれた。ただ、私はどうしても離れる気になれなかった。