入院 4日目
2015年12月1日。
この日も仕事が終わってから病院へ行った。
面会時間は40分ほど。
すごく短く感じた40分だったけれど。
病室に着くとやはり彼は眠っていた。
ただ、「ナナドゴブだよ。わかる?」と訊くと頷いてくれた。
看護師さんに訊くと食事はほとんど入っていないとのこと。
また、脳が腫れてきているとのことだった。
昨晩興奮してしまったため、薬で落ち着かせているとも言われた。
時々眼を開けてこちらをみるがすぐに眼を閉じてしまう。
左腕をしきりに動かしており、左手を握ると握り返してきた。
「えーっと次は・・・」「えーっと次は・・・」としきりに呟いていた。
仕事をしている夢でもみているのか、それとも学生時代に実験していた時の夢でもみているのか・・・・
最後に「愛してるよ」「また来るからね」と言うと頷いてくれた。
この時、私は気づいてしまった。
昨日まで動いていた彼の右腕がほとんど動いていないことに。
合併症が出てきてしまったのだろう。脳も腫れてきているというから。
でも認めたくなかった。単なる偶然だと思いたかった。
彼は良くなると思い込もうとした。
それを打ち消すかのように、不安な気持ちだけ広がっていったのを覚えている。