対面(2)
ICUを出た後すぐに帰る気にはなれず、1階にある病院の売店で飲み物を買い、椅子に座ってぼーっとしていた。
何でこんなことになったんだろう、どうして彼が?とかそんなことばかり考えていた。
そして手持ちの携帯で脳出血やくも膜下出血のことについて調べる。
今の彼の状態と照らし合わせると、絶望的なことばかり書いてあった。
彼はきっと良くなる!と何とか思い込もうとしたけれど、無理だった。
「おそらく何らかの障害が残る。そして最悪の結果もあり得る」
これが私の出した答えだった。変に専門知識があるのもやっかいものだ。
ただ、この時は妙に冷静だった。まだ自覚がなかった、といった方がいいかもしれない。
そしてもう一度彼に会いたくなった。
ICUに戻り、もう一度面会したい旨を告げる。
看護師さんは快く迎えてくれた。実際は迷惑だったかもしれないが。
本当に感謝している。
彼は先ほどよりも顔色が良いように見えた。
そっと腕や肩をさすり、声をかけた。
「○○、ナナドゴブだよ。わかる?」と声をかけると彼はかすかに頷いてくれた。
少しホッとした。
看護師さんに「今まで車椅子に乗っていた方だから、腕の筋肉は落とさないようにしないといけませんね。」と言われて少し安心した。
「彼には未来がある」と言われたような気がしたからだ。
でも相変わらず不安は拭えなかった。
その後面会時間ギリギリまでICUにいた。
”しばらくは病院通いになるな”なんて考えながら、病院をあとにした。