2年前の今日
2015年10月14日。
私は彼のアパートへ行っていた。
彼手作りの夕食を食べ、談笑していた。
何でこんなにはっきり覚えているかというと、この日久しぶりに会ったのと、彼に私の写真を撮ってもらったからだ。
当時、近々学生時代の先輩が結婚するので、メッセージカードを持った自撮り写真を送ってほしいと頼まれていた。
でも私は一人暮らし。
自分で撮るのもなかなか難しかったので、彼にお願いしたのだ。
私のスマホで私を撮る彼。
実は何回も何回も失敗した(笑)
その度に「あーその角度じゃなくって!」とか、「もうちょいズームして!」とかいろいろ注文をつけまくってた図々しい私。
でもそんな時間も幸せだったな。
私のスマホにはまだその失敗した写真のデータがある。
写真の中の私は本当に幸せそうに笑ってる。
まるで自分が結婚するみたいに。
いや、すると思っていたしね、実際。
できなかったけれど。
自分ってこんな風に笑えたんだなって、感心してしまった。
今は、もうできない。
自虐じゃなく、これが本心。
2年前。
彼はこの世にいたし、私は幸せだった。
あの時間は幻なんかじゃない。確かに存在していた。
でももう戻ることは絶対にない。
無邪気に笑っている自分の写真をみながらそう痛感し、胸が締め付けられた。
蓋をしていた負の感情に引きずられそうになる。
写真の中で笑っている自分と今の自分。
姿形は同じなのに、全く違うような気がする。
あの頃の自分が羨ましくてたまらない。
もう二度と手に入らない大事なものを、写真の自分は当たり前のように持っているから。