名前を呼んでくれる人
彼と私はお互い下の名前を呼び捨てで呼んでいた。
私の下の本名は3文字だ。
私の友人の大半は、最初の2文字+ちゃん付けで私を呼ぶ(ナナドゴブだったらナナちゃん、みたいな感じ)
一度、呼び捨てだと言いにくいとも言われた。
職場や知り合い程度の人は、皆名字呼び捨てか名字+さんだ。
両親は私を名前で呼ぶこともあるけれど、私が長女なためか「姉ちゃん 」と呼ぶことの方が圧倒的に多い。
こうして考えてみると、下の名前で呼んでくれたのは彼だけだ。
その事実に何だか唖然とする。
最初に名前を呼び捨てで呼んでくれたのはいつだったか、覚えていない。
彼が照れて、名前+さんからなかなか抜け出せないでいたから。
「ナ、ナナドゴブ?////・・・うわー、恥ずかしorz」なんて照れていた彼がとても可愛かった。
そして、最後に私の名前を呼んでくれたのは2015年11月29日。病院に運びこまれて2日目のこと。
あの時、彼は私を見てはっきり「ナナドゴブ?」と言ってくれた。
その時の声のトーン、表情、雰囲気は哀しいくらいはっきり覚えている。
あれが・・名前を呼んでくれる最後になるなんて、思ってもみなかった。その時は。
「ナナドゴブっ」って嬉しそうに私を呼んでくれる彼。
ちょっと甘えた様子で私を呼ぶ彼。
真剣な顔で呼んでくれる彼。
いろんな彼を覚えてる。
お願いだから、私の記憶が薄れる前にもう一度名前を呼んでほしい。