海辺の道
今日は仕事が比較的早く終わった。
病院の外へ出ると、晴れており心地よい風も吹いていた。
少し遠回りをしてから帰ろうと思い、海の方に車を走らせた。
彼がいなくなってから気づいたのだが、住んでいる街の海沿いの、ある一定の区間に綺麗に舗装された道がある。
もちろん車椅子でも通れそうだ。
今日なんかは散歩したら気持ちよいだろう。実際歩いている人を何人もみかけた。
夕暮れ時の海が見え、癒されるには最高の場所だろう。
夜は綺麗にライトアップもされている。
こんな場所があるなんて、彼がいた頃は知らなかった。
もし今も彼がいたら、「散歩しよう」なんて言って一緒に歩いていたのに。
それができないことがすごく悔しい。
手をつないで他愛もないことを話しながら、一緒に歩きたかった。
清々しい気持ちになれただろうな。大好きな人と一緒だったら。
でもそれはもう二度と叶えられない。
あちらの世界があってこんな景色があるのなら、そしてそこでもう一度逢えるのなら、今度こそ一緒に手を繋いで、2人で「綺麗だね」なんて言いながら歩きたい。
今日、改めて強く思った。