北斗七星
仕事から帰ってきて、一息ついた途端、いきなり悲しみの波が来た。
何でいないんだろう、とかどうしてもう会えないんだ、とか今まで何十回何百回も思ってきたことがまた襲ってくる。
拭っても拭っても涙が止まらない。
何とか気を取り直してジョギングに行くけれど、やっぱり途中で泣いてしまう。
走ることに集中できない。
途中から諦めて、散歩するだけにした。
今日はほどよく晴れていて気温もちょうどいい。
冷たくない風も吹いている。
時々空を眺めながらぼーっと歩いていた。
綺麗な三日月と星。
ほんの少しだけど落ち着くことができた。
ゆっくりと30分ほど歩いてアパートが近くなった時。
また空を見上げた。
北斗七星(だと思われる)が輝いていた。
しばらく見ていると、北斗七星が動いている気がした。
一瞬驚いたけれど、すぐ近くにあった雲が風に吹かれて動いたので、北斗七星そのものが動いているように見えただけだった。
そしてそれを見た瞬間、あぁ私の時間は進んでいるんだなって妙な実感を持った。
私は・・・歩いていかなくちゃいけないんだって。
もちろん彼に会いたいという気持ちもあるんだけれど。
実感した瞬間、悲しみや寂しさが私の胸に広がったけれど、泣き叫ぶことはなかった。
本当に不思議。
彼がいなくなってから、私の感性はかなり変わったと思う。
彼がいたころには気にも留めていないようなことで、感情が変化するようになった。
良い変化なのか、悪い変化なのかわからないけれど。