悪夢
夢を見た。
夢の中で彼そっくりの容姿をした「何か」が私に近づいてくる。
私の名前を呼ぶ声も彼そっくり。でも確実に彼じゃない。
彼はここにはいない。夢の中でもわかっていた。
だから逃げた。その「何か」から。でも追ってくる。
逃げて逃げて、途中でつかまりそうになって、階段の踊り場のようなところから飛び降りようとしたところで目が覚めた。
寝覚めは最悪だった。
一体あれは何だったんだろう。
それとも私が勘違いしていただけで、本当に彼だったのか。
わからない。
そんなことを考えていると恐怖感が薄れ、無性に淋しくなった。
そして彼に会いたくなった。
安心できる彼のそばに行きたいなぁなんて思った。