いつかあなたに逢いたい

2015年12月に6年付き合っていた最愛の彼を喪いました。
正直どう生きていったら良いのかわからないまま・・・今を過ごしています。

そして・・・火葬

前回の記事の続き。あの時のこと。



霊柩車に乗りながら、私は彼に語りかける。
いや、正確には棺に向かって。
心の中で、だけれど。
”〇〇、早く起きてよ。目を覚ましてよ。早くしないと焼かれちゃうんだよ。それは嫌でしょ?何か声を出してよ”
もちろん何の返答もない。
一方で、”何を馬鹿なことを考えているんだ。彼が応えてくれるなんてあるわけない”なんて冷徹に考えている自分もいた。
自分自身を処理しきれずに、最後の方は窓からぼんやりと外を眺めていた。
曇り空だったから、雨が降らないといいな・・とか、火葬場に着かなければいいのに・・なんて考えていたことを覚えている。


それでも時間は無情で。
火葬場には(体感的には)あっという間に着いてしまった。
もう一度、お経があげられる。
私はこの時、ただ”〇〇・・!〇〇・・!”と彼の名前を心の中で呼んでいた。
一言でいい。お別れの言葉でも、何なら蔑みの言葉でもいい。
何か・・聞きたかった。


そして、顔の小窓が開かれる。
最後に・・顔をみるために。
キスしたかった。もう一度彼に触れたかった。
でも・・彼に触れている人は誰もいなかった。ご両親でさえも。
だから、できなかった。
これは、今でも後悔している。
遠慮しなきゃ良かった・・と。


ついに彼が火葬炉に入れられた。
『いかないで!!』そう叫びたかった。
駄々を捏ねている子どものように泣き喚きたかった。
でもできなかった。
”彼のご家族だって辛いんだ。私だけじゃない。冷静にならなきゃ”そんな風に思ってしまった。
自分の本心に蓋をした。
もう、涙すら出なかった。


「お別れでございます」
そう、火葬場の人が言った。
そこからは記憶がしばらく曖昧だ。
ただ、曇り空だったのが少し晴れてきたことだけは、覚えてる。

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